江戸某所にて、様々な珍獣やら宇宙生物を飼育する管理センターを訪れた央国星の皇子…ハタ皇子は地球に来ると必ずここに顔を出していた。

「じい…余の可愛いペット、蔵下郎の姿がどこにも見当たらんが…どうしたんじゃ?」
「あーアレね…あんなモン、とっくの昔に海に捨てましたけど?何か?」

御付きのじいは煙草を吹かしながら言い捨てた。常日頃から態度が悪い。

「はああっ!?何勝手に人のペット捨ててんだクソジジイィ!せっかく余があの愛らしい姿に癒されようと訪ねたというに!」
「だってあのクラゲ、日に日にでかくなって食費は嵩むし、水槽とかの維持費も掛かるし、触手で悪戯するし、発情して飼育員のおばちゃん襲うし…もうね、苦情が多すぎて仕方ないっつーか…番い相手がいなくて可哀相だから、じいが自然に還してやったんですぅー」

感謝しろと言わんばかりに態度がでかい。

「何ドヤ顔してんだクソジジイ!てめーも海に沈めてやろーかァァァ!!オイどこにやった?蔵下郎をどこに捨てた!?」
「どこって江戸湾に捨てたけど?今更捜したってムダですよ、見つかるワケないでしょ?蔵下郎は自由に泳ぎ回って好きなところで暮らしてますよ、多分」
「まったくいい加減なことを言いおってからに…余は絶対あきらめんぞ!必ず蔵下郎を探してみせるぞよ!!」
「ま〜ムダだと思いますけどね、じいは」

蔵下郎が海の藻屑となったことを二人が知る由もなかった。


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