明け方、ぱちりと目が開いた。
かたらは瞬きを繰り返して、意識を取り戻す。

布団の中に自分以外のぬくもりを感じて寝返りをうつ。暗がりでも隣に誰がいるのかわかる。手を伸ばせば、ちゃんと触れることができる。
かたらは銀時に身を寄せて、ぎゅっと抱きついた。急に不安になったのは、銀時がまた旅立ってしまうような気がしたからだ。

「…ん…?かたら、…起きたのか…?」
「………」
「ん、…どした…?」
「銀兄……どこにも、行かないで…」

ぎゅううう、と細い腕に力がこもる。

「…心配しなくても、俺ァお前の傍にいる…どこにも行かねーよ」

銀時も腕を回して抱きしめ返す。

「うん…」

素直に返してくれた言葉がうれしかった。

「…ところでお前、…カラダ大丈夫か?」
「え…大丈夫って何が?…あれ?私…もしかして…」
「見事に落ちてたなぁ。まさか気絶するとは俺も思わなかったわ」
「…気持ちよくって…頭が真っ白になって、…その後の記憶がない…」
「ま、昇天させたとなりゃ男冥利に尽きるってモンだ」
「そうなの?……ん、っ」

ナニかに脇腹をつつかれて、かたらは身じろぐ。

「つーワケで、かたらちゃん、次は気絶しないでね」
「え?…やっ、もうすぐ朝っ」
「もう我慢しなくていーから、何回でもイッていーから、ねっ」
「ねっ!?」



一度味わって病み付きになるように、中毒になればなるほど依存する。
手放せない、離れたくない、ふたりでひとつだったあの頃。時は無情にもふたりを引き裂いた。

では、二度目はどうなる?いつかまた、同じことの繰り返しになりはしないだろうか。
そんな一抹の不安さえ、うつろう時のなかでは無意味で、結局のところ未来という先は誰も知りえない。

過ぎ去りし昔と今のように、一緒に笑い合える未来を望むとしても…


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