子の木/本日の夢/天使の仕分け
【子の木】
子供が木の股から生まれる世界では、親になる資質がある者だけが子供を受け取り育てていた。
ある女は木の股から子供が生まれたら奴隷として働かせようと思っていた。しかしいくら待っても子供は生まれなかった。
山一つを買い取ったがどの木にも子供は生まれなかった。
女は生涯親にはなれなかった。
【本日の夢】
体液が宝石になる少女と出会った。上質なダイヤモンドを出すものだから、人々に攫われ続けていた。
私は少女を攫って、とある病院に隠した。
「逃げていいの?」
「駄目。逃げたらまた攫われる。ここに隠れ住みな」
少女はぺ、と唾を吐く。エメラルドが転がった。私はそれを彼女の入院費として使った。
【天使の仕分け】
卵から孵った天使の雌雄を判別する仕事をしている。生まれたばかりの天使を次々に仕分けていく。
たまに両性具有が現れる。そういった子は一段階上の天使に育つ可能性があるので、特別な保育器に入れて係の人に受け渡す。
「この女の子は三日後、佐藤さんのお腹に宿ります」
行ってらっしゃい、天使。
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