夜中の暴走/煙が目に入る/争いで争いを洗う/おおかみ
【夜中の暴走】
布団の中でメモ帳に構想を書き殴るのに夢中で、夜中の二時を回った事にも気づいていなかった。ここで伏線を入れて、ここでひっくり返して。
瞼が重くなってくるが知った事ではない。ここでクライマックスを。そう思った瞬間に意識が途切れた。
起きると、支離滅裂な話が目に飛び込んできた。何だこれ。
【煙が目に入る】
黙々と燃やす。使わなくなったノートを。小説や詩が刻まれた、今や無用の品。
これからは小説を書く暇もなくなるのだ。
煙はどんどん集まり、人の顔になっていった。妖怪、煙羅煙羅か……好きなだけ煙を吸えばいい。
「朝の日差しの中で微笑む」
煙羅煙羅は私が書いた詩を読み上げていった。涙が出た。
【争いで争いを洗う】
不老不死の薬を巡って争いが起きた。地表を焼き、空気を燃やす争いは三度も続いた。
一人の科学者はそんな有様を見兼ね、研究を繰り返して、争いを続ける者達に向かって叫んだ。
「聞いて下さい、争いを立ち所になくす薬を開発しました!」
なんと素晴らしい薬だ。
その薬を巡って再び争いは起きた。
【おおかみ】
バスケットに花を詰め込み、葡萄酒とパンも詰めて、君はやって来る。僕が教えた通りの道順で、ゆっくり寄り道をして。
君が到着した頃には君のお祖母さんは僕のお腹の中だろう。君に罵声を浴びせる、ボケてしまったお祖母さんだった。
そうして僕は猟師によって、君のお祖母さんを食らった代価を払う。
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