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腕から先だけ/堂々たる/笑わない、引かない、そういう所


【腕から先だけ】
 バドミントンのラケットをうちわのように扇いで彼女は涼をとっていた。木陰に座り込んで、スポーツに勤しむ皆を見ている。
「やらないの? コーチに運動しろって言われてるじゃないか」
 僕が聞くと、彼女は返す。
「運動しろって指示があったから、今、腕を動かしてるの」
 ああ、その手があったか。

【堂々たる】
 彼女は僕に何かをした後に必ず「自惚れるな」と言ってくる。僕の為ではないそうだ。
「お腹空いたな」
 何となく呟いた僕に彼女は惣菜パンを買って来た。真顔で僕にパンを押し付けると一言。
「今回ばかりは自惚れる事を許そう、お前のために買ったんだ」
 偉そうだな。
 でも嬉しかった自分が恨めしい。

【笑わない、引かない、そういう所】
 女性から告白された。私も女だ。どう答えるべきか考えていると、彼女は勝手に後ろ向きな考えに至ったのか泣きそうな顔になっていた。
「駄目、ですよね」
「同性と付き合った事ないから考えてるんだよ、少し待って」
「……ああ、そういう所が好きなんです」
 彼女にそう言われたが、一体どういう所だ。




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