タイムイズマネー/魔女さん/またおいで/薄っぺら
【タイムイズマネー】
もう夕方か。少し昼寝をしただけのつもりだったのに。最近こんな事が増えてきた。歳をとったからか、時間が過ぎるのが早い。
そう友人に言ったら、その友人は私の背後を見て苦笑した。
「金食い虫は金がない人間に取り憑くと時間を食いだすものなんだ」
殺虫剤を買って背後に吹きかける事に決めた。
【魔女さん】
「あなたと私はつくづく縁があるわ」
シーツに沈みながら、艶やかな黒髪の彼女は言った。彼女は魔女のようだ。どこへ行っても必ず出会う。
「あなたを追っているの、前世から」
ストーカーもここまで来れば天晴か?
前世なんて信じていないけど、私は一言呟いた。
「火遊びも程々に」
魔女だけにね。
【またおいで】
何故か気になる神社がある。たまに行きたくなるのだ。賽銭を入れてただ挨拶をしたくなる。
今日も徒歩で二、三十分かけてその神社までお参りに行った。何を願うでもなく賽銭を入れて頭を下げた。
「君は呼ばれてるんだよ」
「呼ばれてる?」
「神社に気に入られてるんだ」
神主が笑ってそう言った。
【薄っぺら】
「クローバーの花言葉って復讐なんだって」
シロツメクサが好きだと言った私に、君は得意げに知識をひけらかす。わざわざ悪い意味を教えようとするなんて、意地悪なのか、中二病なのか。
「幸運とか約束とかあるじゃない」
私が指摘すると、君はぽかんとして黙り込んだ。…なんだ、知らなかったのか。
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