電気JK/平凡/クーリェートーの話
【電気JK】
帯電体質である彼女は友達が居なかった。触るとビリリと痺れてしまうからだ。だから彼女はいつだって一人だった。
私は彼女の隣に座る。驚いた彼女が此方を見たので、何でもない事のように言っておいた。
「ノート貸して」
電気と無関係な私のセリフに、彼女は嬉しそうに返す。
「焦げてるけどいい?」
【平凡】
あの子、変わってる。
影で指差して彼女達は囁く。
「私達とは違う人種なんだよ」
笑いながら言う彼女達に背を向けて、私はあの子の元へ歩き出した。
「何食べてるの、それ」
「マシュマロチョコサンド」
あの子も変わってる。
私を見ながら彼女達は言う。言えばいい。
変わってない人など居ないのだ。
【クーリェートーの話(280字)】
クーリェートーという生き物がいた。クリェトとも呼ばれた生物は腕や足が無数にあり、その手足で全く意味のない物を創り上げては遊んでいた。
クリェトは卵を作った。卵の中にはぷちっともいだ自分の手足を二本ずつ入れた。意味はなかった。
やがて卵から生まれたのは一対の手足を持った生き物だった。
一対の手足を持った生き物はクリェトの真似事をして遊びだした。土を捏ねて器を作り、あらゆる石に色を塗りたくり、珍しい生き物を見つけると絵を描いて写し取った。クリェトはとても面白がった。
この卵から生まれた生き物たちの子孫が、現在クリエイト(創作活動)に手を伸ばしている人間である。
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