ただの家事代行/お使いの慣用句は適切です/本人に聞いてみた
【ただの家事代行】
帰って来た鬼はポカンとしていた。
「何をしてるんだ」
何をしているも何も、鬼の居ぬ間の洗濯、というのをやってみたかっただけだ。洗っている最中に目が合った。
鬼がいる時に洗濯するのと何が違うのだろう? そう尋ねたら、鬼は力が抜けたように笑った。
「鬼を恐れないお前には関係のない話だよ」
【お使いの慣用句は適切です】
得意になる事を「天狗になる」と表現するけれど、さて本当の天狗は得意になるのだろうか。そう尋ねたら、なる訳なかろうと返された。
「脱落者が多く出るほどの厳しい修行を乗り越え悟りを開いた天狗が得意になる事などある筈がない!」
ああ、なってるなってる。
この慣用句の使い方は適切なようだ。
【本人に聞いてみた】
河童の川流れという諺があるが、実際に溺れた河童はいるのだろうか。尋ねてみると、ひどく軽い調子で本人が返して来た。
「川に飛び込もうとして間違って腹打ちしちまった時は、気絶してそのまま流されてったなあ」
ああ、それは痛い。
泳ぎが得意な河童でも、飛び込みで失敗する事があるのだそうだ。
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