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焦げ味とバク/文学泥人形と君/君の残り香


【焦げ味とバク】
「蜜の味って本当?」
 夢ではなく人の不幸を食べる担当のバクに問う。彼は今、私の不幸を食べていた。
「焦げたナスの味がする」
 彼は不服そうに呟く。
 彼氏にフラれた私の不幸はナス味なのだそうだ。なんだか侘しい。
 彼は言った。
「人の不幸を喜ぶ人間だけ蜜の味を感じるんだ。普通は焦げ味だよ」

【文学泥人形と君】
 地球という惑星は、巨大な人間が作り出した箱庭なのではないかと考える事がある。
 巨大な人間にとってはまだ何十年しか経っていない中、地球は進歩をしたり退化をしたり忙しいのだ。
「私たち、泥人形ってこと?」
 君が不満そうに尋ねてくるので、僕は思わず苦笑した。
 泥臭い片恋というのも悪くない。

【君の残り香】
 ペンを持つ。普段は無口な私だけれど、紙の上では饒舌に語る事ができる。
 今日見た映画の話、昨日食べた料理の話、明日会う約束の話。
 好き、という言葉。
 たまにはメールで済ませてもいいかしら。呟く私に貴方は首を横に振る。
「インクの匂いがしなきゃ寂しい体になってきた。ずっと頂戴、君の手紙」




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