お腹がすいたな/どちらも笑いたいだけ/無言は肯定
【お腹がすいたな】
痛ましい事件で母を亡くした子供を引き取った。何でも、母親の体の一部は未だに見つかっていないという。
なんて可哀想な事件だろう。胸を痛めて子供の肩を抱く。
「今日から私がお母さんよ」
その子は笑顔になって言った。
「久しぶりにお母さんの料理が食べられるんだ！」
何故だか、背筋が冷えた。
【どちらも笑いたいだけ】
綺麗な物ばかり集めて自分の汚さが際立たないかい？ そう笑われて、レースのカーテン越しに私は首を左右に振った。
実際、君はその綺麗な物たちとつり合っていないよ。更に笑われて私は首を傾げる。
「好きな物に囲まれる幸福を感じた事がないの？」
論点をずらすな、と相手は怒った。
ずれてないよ。
【無言は肯定】
僕は効率の悪い事はしない主義だ。もじが短縮できるなら漢字を使うが、短縮できないなら比較的労力の少ない平仮名で書く。労力にみあわない物が認められないのだ。
「一々文字数を数えてひらがなか漢字か決めるのって効率悪くない？」
彼女の一言にぐうの音も出ない。ほら、黙り込む方が効率的だから。
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