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信じるとは/後ろの正面私/不完全な僕


【信じるとは】
 貴方の機嫌を損ねないよう誰もが気遣ってやっていたのに、少し気に食わない事があっただけで貴方は「裏切られた」と喚くのだ。
 だから私は貴方と距離を置く。それすら貴方は「裏切られた」と叫ぶ。
 貴方はまだ気付かない。自分を裏切っているのは自分自身だという事に。
 ねえ貴方は何を信じているの。

【後ろの正面私】
 ぺたん、ぺたん、ぺたん。
 後ろから何かがついて来る。
 振り向いても誰もいない。ただの夕暮れ時が目に入るだけだ。
 私は知っている。ついて来るのは後悔だと。あの時ああすればこうすればと後悔した自分の欠片だと。
 そうやって後悔しなければ良かったのに。
 苦く思った瞬間、足音は増えた。
 ぺたん。

【不完全な僕】
 器用な人間になりたい。親しみやすい人間になりたい。察しの良い人間になりたい。
 周りが僕に要求する全てをこなせる人間になってみたかった。
 悲しく思ってポツリと漏らすと
「そう? 君は君のままがいいな」
 彼女はさらりと言ってのけた。
 どちらの要求に応えればいいのだろう。不思議と心が痛む。




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