王様の言うとおりになる国
ある国に、とてもわがままな王様がいた。
黒いものを指差し
「これは白だ!」
といい、白いものを指差し
「これは黒だ!」
といい、家来や国民にも黒を白、白を黒と呼ぶように言いつけるのだった。
「わしの言う事はすべて、この国の法だと思え! 法に逆らえば打ち首だ!」
打ち首を恐れた人々は、皆、王様に従った。
「わしはご馳走が食べたいぞ!」
王様がそういえば、国民たちは自らが飢えるのも我慢して、王様に食べ物を捧げなければいけなかった。
「わしは綺麗な服が着たいぞ!」
王様の言うことは法律も同然なので、国民たちは自分が凍えるのに耐えて、服や生地を納めなければいけなかった。
王様の言うことが全て叶えられていったある日、飢えた国民の一人が城へやってきた。
国民は必死に訴えた。
「王様、私たちの生活はもう限界です。食べ物も着る物もなく、沢山の人が死んでいきます。どうか、他の国に移り住ませてください」
「何だと、勝手なことを言うな! そういう奴は打ち首だ」
王様の言うことに逆らったら、打ち首だ。
なので、一番勝手なことを言っている王様が、王様の言うとおり打ち首にされた。
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