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デスちゃん


 自立型超成長機、エーテル。このロボットは自分の意思を持ち、考え、学び、表現する。
 銀河文明条約において、エーテルタイプのロボットは、人権を有するのが妥当であると認識されている。らしい。
 私のクラスに、エーテルタイプが転入してきた。
「デストロイヤー・ワンと申します」
 名前が怖い。
「銀河帝国軍に所属する、伍長です」
 肩書きが物々しい。
「気軽に、デスちゃんとお呼びください」
 茶目っ気を出さんでいい。
 ざわつく教室。地球という、人権意識がそんなに高くない惑星にやってきた、宇宙メカ。デストロイヤー・ワンは、担任の「空いている席に座りなさい」という言葉に頷くと、私の隣に腰を下ろした。
「田中さんですね、よろしくお願いします」
 身長二メートル、全身が紫色で、単眼デザインのロボットが、握手を求めてくる。指の数は三本。背中についた飛行パーツが邪魔くさい。
「ええと、よろしく」
 戸惑いがちに握手に応じると、デストロイヤー・ワンは、キュイン、と音を立てて単眼を細めた。
 どうやら今、笑ったらしい。
「我々、銀河帝国軍は、太陽系連合軍と争うつもりはありません。連合軍エースパイロットの田中ロビンさん。上官殿に、そうお伝えください」
 戦う気がないのは結構だけれど、教室で私の役職を口に出すのはやめてほしかった。浮くから。




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