決戦!アジフライ!
アジフライが美味しい店のアジフライが盗まれた。怪盗アジフライがアジフライを奪っていったのだ。
僕はどうしてもアジフライが食べたかった。この日のためにアジフライ定食の料金、五百円を大切にとっておいたくらいだ。
アジフライ定食は白米おかわり無料で、みそ汁もおかわり無料、小鉢には漬け物が山盛りで、肝心のアジフライはというと、身が厚くてふわふわしており、衣もさくっと香ばしく、とても美味しい。
そんな夢のような定食からアジフライをさらっていった怪盗アジフライを、僕は、どうしたって許せなかった。
走った。町の中をひたすら走った。どこに怪盗アジフライがいるのかも分からないのに、とにかく力の限り走った。食べ物の恨みは恐ろしいのだ。猛烈に走り抜けた。
商店街の真ん中に、それはいた。
大きな黒いマント、黒いタキシード、アジフライの仮面、そして、怪盗アジフライという名札!
「アジフライを返せ! 怪盗アジフライ!」
「断る! この香ばしくてさくっとしたアジフライは、この私が全て頂く!」
僕は菜箸を構えた。怪盗アジフライはトングを構えてカチカチと威嚇する。なかなか手強い。
トングを振り抜く怪盗アジフライ!
それを咄嗟にかわして菜箸を振るう僕!
菜箸の先には、救出されたアジフライの姿。
さくっと音を立てて、僕は勝利した。
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