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おもちのヌペ


 おもちを拾った。おもちというのは生き物の名称である。四角くて、もちもちしていて、時々ふくらむので、おもち、と学会で名付けられた。
 おもちには、ものすごく短い四本の足が生えている。それでもちもちと歩くので、皆は、ああ、おもちだなあ、と思う。
 おもちはふくらむ。主に太陽光を浴びると、ぷくうっとふくらんで浮かび始める。そのまま風に乗って移動する。ふわーっとしている。
 おもちのカラーバリエーションは豊富で、赤、橙、黄色、緑、青、藍、紫の七色と、迷彩柄、水玉柄、無地の三種類……合わせて二十一通りの種類があるが、なぜそんなに沢山のバリエーションがあるのかは誰も解明できていない。
 おもちは知らないうちに増えている。性別はないらしい。複数を同じケージに入れて飼うと、いつの間にかもちもちした赤ん坊ができている。なので飼う場合は一つのケージに一匹のおもち、という原則を守った方がいい。

 僕は拾ったおもちにヌペと名付けた。
 肌触りがヌペヌペしていたからだ。

 おもちは基本的に、イチゴのヘタやミカンの皮や、キャベツの一番外側の葉っぱを好んで食べる習性があり、何度イチゴやミカンの可食部分を与えても、しらーっとして食べようとはしなかった。
 大根の葉っぱは嫌いらしい。からいから。

 ヌペにキャベツの一番外側の葉っぱをあげてみたところ、なんと芯だけを食べ始めた。
 なかなかグルメである。
 ヌペに首輪をしたら、にゅんっと脱げた。




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