×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

マイナー駅にて


 たまには自分から面白いものを探しに行こうと思い立ち、電車一本で行けるところまで行ってみた。しなびた町に着いた。観光地の隣だというのに、その恩恵を一切受けていないようなたたずまいだ。
 商店街はあるが、錆びたシャッターが多数下ろされており、細い路地には猫が詰まっているり
 面白いもの探しの旅をしている僕は、何か面白いことがないかと辺りをうろうろしたのだが、残念なことに有名なアニメのマイナーなキャラクターのスタンプが駅に設置されているくらいしかなかった。スタンプラリー開催中らしいが、客はあまり降りて来なかった。

 たしか、このキャラクターは悪役で、四天王の中でも最弱で、声優のアドリブで庭の花壇にハーブを植えたら花壇がハーブでわさわさになったというエピソードを持つ、三話くらいしか出てこなかった男だ。ハーブの件はおそらく声優の体験談だろう。

 電車がやって来る。女性が一人降りる。そしてスタンプラリーの台に、自分の手帳を広げて置いて、ポン、と押印した。
 女性はとても嬉しそうだった。このマイナーなキャラクターのファンらしい。そのキャラクターのキーホルダーをリュックにつけていて、ハーブを模したイヤリングを耳にしていた。
 女性はこの町にお金を落とす気満々でやって来たらしく、ガイドマップを広げると、意気揚々と歩き出したのだった。

 僕もスタンプを押してみた。




*back × next#
しおりを挟む