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ぽっぽぽ星人


「おーほしさーま」
 娘はお星様をそう呼ぶ。七夕の歌をそっくり覚えている三歳の我が子は、歌のとおりに発音する。
「おーほしさーま。ぱぱも」
 パパも、と言われて空を見上げる。粉砂糖のように夜空にまぶされた細かい輝きが、私と娘を包み込んでいた。
「おー星さあま、綺麗だね」
 娘をひざの上に乗せて言う。娘は私の方を見ると、うーん、と何かを考え込み始めていた。
「どうしたの?」
 尋ねてみる。三歳の娘が口を開く。

「ぽっぽぽせーじん、きたよ」

「ぽっぽぽせーじんって何?」
「ぽっぽぽせーじん」
 ぽっぽぽ星人とは、UFOに乗った宇宙人で、昨日の夜に家に来たらしい。
 三歳児の空想力はすごいな、と感心していると、夜空が突然まばゆく光り出した。何が起きたのか分からず、私は娘を抱き上げて呆然と夜空を眺めていた。
 ゆっくりと、ゆっくりと何かが下りてくる。大きめの鳥が羽ばたきながら、私と娘の前にやってきたのだった。
「ぽっぽぽせーじん、きたよ」
 娘は言う。
 見れば巨大な飛行物体が上空に浮いている。
「ぽっこぽーん、ちょーだいって」
 大きめの鳩型宇宙人の通訳をする娘にポップコーンを渡すと、ぽっぽぽ星人はクルッポと鳴いた。




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