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混む道をふらりと/仰せのままに/ワン!


 大通りに人。皆が悪霊やアニメキャラのコスプレで歩行者天国を賑やかす。一瞬の祭り。
 座敷童と歩いた。気づけば座敷童は菓子をしこたま施されていた。カゴを買って詰め込んでなお歩く。
 この祭りは嫌いだ。混むし。
 そうだ、小鬼たちに土産を持って帰らなければ。ねえあなた。トリックオアトリート。
【混む道をふらりと】

 暴君がいた。黒を白と呼び、従わない者は斬首。誰もが王を恐れた。
 民に布も食糧も納めさせ私腹を肥やす。何でも王の言う通りになる国だった。
「王様、納められる物がありません」
 平伏す民に王は腹を立てて言う。
「勝手な事を言う奴は斬首だ」
 勝手な者の首が落ちた。
 こうして国は平和になった。
【仰せのままに】

 模様替えをすることにした。あなたから貰ったもの全てを、捨てようと思って。
 木の枝、片方だけの靴、噛み跡だらけのぬいぐるみ。
 結果、それらを飾る棚が増えただけで、部屋が少し狭くなってしまった。
 未練がましい自分に苦笑い。
 今でも大好きだよ、と呟くと、頭の中で元気な「ワン!」が聞こえた。
【ワン!】




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