桜第一女子高等学校/寝て/いや、好きなのは……
「何見てんだよ、オラァ」
ガラの悪い人に絡まれた。同じクラスのミキさん。髪を赤く染めて私服で登校してくる不良な子。
「ガン飛ばすなんていい度胸……なに、あんたカラコンじゃん! やべー! 似合う!」
廊下に響くはしゃぎ声。
目と目を合わせて喧嘩を売る彼女にしか分からない、私の校則違反。
【桜第一女子高等学校】
一日中走り回った。踊り、騒ぎ、歌い、ジャンプして、昼寝もせず全力で遊んだ。
昼食はビスケット三枚しか食べてくれなかったが、夕食はそれなりに食べてくれた。
今日も一日、沢山遊んだね、と布団に入れる。
午前一時。
我が子は踊っている。
マグマのように湧き上がる体力を持て余して踊っている。
【寝て】
文房具が好きだと聞き、ペンやノートや便箋などを買って渡す事にした。
虹色のインクが出ると評判のペンを渡すと君は喜んで試し書きを始める。
名前、アドレス、電話番号。試し書きにしては具体的すぎるな。
「文房具について語り合お?」
どうやら文房具好きと勘違いされたようだ。輝くメモが眩しい。
【いや、好きなのは……】
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