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辞退したい/園児の笑顔が眩しくて/彼女達は


 町中で鐘が鳴る。
 牛の首に提がっているような鐘の音だった。カランカラン。
 気づいている者は誰もいないらしい。なら僕だけに聞こえているのか。音は近づいてくる。
「おめでとうございます! おめでとうございます!」
 何に当選したのか知らないが、法被姿の男が血走った目で、僕に駆け寄って来た。
【辞退したい】

 紙粘土で怪獣を作ってばかりの彼女に、僕はヒーローを作らないのかと尋ねた。彼女は言う。
「今作ってる」
 今作っているのは怪獣だろう、と言いかけて飲み込んだ。キラキラした彼女の顔を見て察したのだ。
 彼女にとっては怪獣がヒーローなのだと。
「格好いいね」
 思わず言うと、彼女の表情は輝いた。
【園児の笑顔が眩しくて】

 貴女が好きな、コクがある芳醇な香りと苦味。私の口には合わないブラックのコーヒー。
 私が好きな、花の香り溢れる爽やかな味わい。貴女の口には合わないジャスミンティー。
 交換して口に含んで、お互いに変な顔をしてくすりと笑い合う。
 こんなにも好みが違うのに、私と貴女、今手を繋いで、隣同士。
【彼女達は】




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