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死亡者はいるけど/空模様/人はそれを不運と呼ぶが


「死神募集中、初心者歓迎」
お願いします、と手渡されたチラシに書かれていた。読むと、最近日本では死者が多すぎて魂を回収する死神が足らないそうだ。
そこで募集を始めたらしい。
「死神って死ぬんですか?」
「死にませんよ」
「一生こき使われそうですね」
「あー……」
気まずい空気が流れた。
「お給料は、時給制ですか、歩合制ですか?」
「歩合制ですね」
「家で内職やるのとどっちが儲かります?」
「うわー……それ聞いちゃいますか? まあ内職よりこちらの方が儲かりますけど、夜間清掃の方が割りがいいかなって思いますね」
正直な死神だ。
そんなこんなで、志望者がまだいないらしい。
【死亡者はいるけど】(280字)

 秋の羊雲。見ていればメエメエ聞こえてきそうで、写真を撮った。写真フォルダを眺めてみると、なんと本物の羊が一匹紛れ込んでいる。
 どうやって空に? 急いで上を向いたが、羊はすでにいなかった。
「僕は入道雲だと思ったらソフトクリームだった」
 彼は言う。空には色々なものが浮いているらしい。
【空模様】

 昨日、君が言った。
「明日はいい日だよ」
 目が覚めて寝坊をしたと悟った。飛び乗った電車は逆側行きだった。会社に連絡を入れたら渋々許してもらえた。
 どこがいい日だよ。僕は昨日の君に返す。
 乗り換える為に降りれば、突然の遅延。会社に連絡。今日は休みになった。
 いい日は力尽くでやって来た。
【人はそれを不運と呼ぶが】




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