×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

見えない告発/用途外/戦略勝ち


 押入れの襖を開けた。血走った目の女が入っていた。
「あなた誰?」
 女は言う。
 ここは事故物件だ。過去に事件があって、僕はアルバイトで一ヶ月ここに住む。
 女は屋根裏部屋を指差して言う。
「彼と、どんな関係?」
 もしやと思い通報すると、まだ捕まっていなかった犯人が、屋根裏部屋から出てきた。
【見えない告発】

 ボールペンを買った。何でもそのペンで文章を書くと、良質の物語になるらしい。小説を書くにはもってこいかもしれない。
 だが、そのペンで日記を書いた。食材の買い出しを忘れていたり、鍋を空焚きしてしまったり。失敗という失敗を面白おかしく書いた。
 そのお陰かな。
 少し前向きになれた気がする。
【用途外】

 凍える指先を貴女の頬に当てたら、貴女は驚いたように私を見る。
「私の手袋を貸すわ」
「いいわ、大丈夫」
「肌荒れまでしてる……ハンドクリームは?」
 私の手を温かな両手で包み、心配そうに揉みしだく貴女。貴女に触れてもらえるなら手袋もいらない。
 私と貴女は手を繋ぐ。体温を分け合うように。
【戦略勝ち】




*back × next#
しおりを挟む