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役に立たないという任務


 天才がいた。クラウドファンディングで集めた資金で自立思考型ロボットを作り出した天才だ。
 ロボットは我儘を言うし反抗もするし屁理屈だってこねる。まるで手のかかる子供のようだった。
 手がかからないように作る事は簡単だが、豊かな人格を持った共存相手として作った所が画期的だったらしい。
 何かに活用出来るはずだと皆が期待した。しかし天才の彼は不思議そうな顔をして、自由に遊びまわるロボットを撫でながら問う。
「何かの役に立たなきゃいけないなんて発想、前時代的にも程がありませんか?」
 何の役にも立たない自立思考型ロボットだからこそ、そこに居るだけでいいのだと彼は言った。




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