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思春期の子/便乗/お日柄もよく


【思春期の子】
 指先同士が触れた時、驚いたようにあなたが此方を向いたから、ばっちりと目があった。
「ごめんなさい、ぶつかっちゃって」
「あ、ああ、そうなの……手を繋ぎたいのかと思って、私」
「つ……繋ぐ?」
「えっ」
 セーラー服が風に揺れる。同じ丈のスカートがはためいて、私達は揃って赤面し、俯いた。

【便乗】
「お父さん、これ気持ち悪い」
「それはタコ。三歳児並みの知能があるよ」
「お父さん、これ気持ち悪い」
「それはナマコ。実は、ヒトデの親戚なんだよ」
 娘の言う「気持ち悪い」に解説をつけていったら、娘はだんだん気持ち悪いと言わなくなった。
 その代わり、これ何? と尋ねるようになった。

【お日柄もよく】
 同じ部署で働く常木さんは狐だ。二足歩行する狐がスーツを着ているのだ。
 そんな常木さんが職場結婚で離職することになった。おめでとうと周囲の声。相手は人間の山田さん。
 結婚式は全て屋内で済ませる予定らしい。天気雨が降るんだから仕方ない。
 雨の代わりにお米を降らせて、祝ってあげなければ。




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