英才教育/虹の素/食べてくれた
【英才教育】
「あー」
言葉を覚えるのが遅い弟は、時折虚空を見ては何やら頷いていた。うん、と返事までしている。
見えないお友達でもいるのだろうか。何だか気味が悪いが、子供特有のイマジネーションだと思おう。
「いあ」
弟が口を開く。
「いあ、くとぅる」
ちょっと待てどこで教わった。見えないお友達か?!
【虹の素】
虹の根っこを掘ってみたら、虹色の大きな種が現れた。人の頭ほどある大きな種は、どうやら沢山の水と、栄養豊富な土が必要らしい。
そして虹が生えてくるというわけだ。
もう一度埋めて、柔らかく土を盛った。タイミングよくにわか雨。すると足元が輝き、雨の後には立派な虹が生え、空に昇っていった。
【食べてくれた】
駅前の店で食虫植物を買った。必ずしも虫をくれてやる必要はないらしい。しかし食虫というなら虫を食べさせたいと思うだろう。
コオロギを買ってきて、ウツボカズラの中に放り込んだ。
「僕についた金食い虫も食べてくれたらな、なんて」
そう呟いたらウツボカズラが一気に膨れて、稼ぎが多くなった。
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