×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -

危機回避/苦痛/ないないさん/あくま


【危機回避】
 自分とそっくりな人物に出会うと死んでしまう。それがドッペルゲンガーである。
 私はそんなドッペルゲンガーがガッカリしているのを初めて見た。いや、ドッペルゲンガー自体を初めて見たんだけど。
「……ごめん」
 とりあえず謝っておこう。
「ごめんね、プチ整形して」
 そっくりじゃなくなった事を。

【苦痛】
 異世界に転生した。美少女だった。魔法の天才で、王女様だった。生まれつき伝説の龍の加護を受けていた。許嫁も格好良かった。
 勉強は苦手だったが、男前な家庭教師が丁寧に教えてくれた。
「王女様、何なりとご命令を」
 執事もまたイケメン。
 しかし、前世の「僕」は男だ。ただひたすら、嬉しくない。

【ないないさん】
 ないないさんは何でもなくす。テレビのリモコン、服についたボタン、提出しなければいけない書類。
 慌てて探す人間を見てクスクス笑っているのが、ないないさんなのだ。
「なんで冷蔵庫にリモコンが?」
「あれ、テレビの裏に書類が」
 そして変な場所にしまってしまうのも、ないないさんの仕業である。

【あくま】
 引き籠ってもいいよ、と悪魔が囁く。交流なんてしなくていい、と告げる。仕事もしなくていい。一日中寝てばかりでいい、と。
 疲れて壊れかけた人間の前に現れては、社会が美徳とするものをコケにするのだった。
「人間を堕落させる為には、まず正常に戻さないと……ああ、ほら、寝てていいんだってば」




*back × next#
しおりを挟む