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夏の恒例/需要と供給/猫缶と火の粉


【夏の恒例】
「強盗だぞ! この袋にきゅうりをいっぱい詰めろ!」
 レジ袋を渡してくる、水鉄砲を構えた河童を見た。河童は力が強い恐るべき妖怪だ。
「早くしろ、お腹が空いてるんだ!」
「お味噌かマヨネーズつけようか?」
「じゃあ、お味噌」
 きゅうりを受け取った彼は走り去っていく。忘れ物の水鉄砲が一つ。

【需要と供給】
 姑獲鳥が赤ん坊を探している。産めなかった自分の子を。
 子供をさらって自分の子として育てる事件もあるので、妖怪警察は困っていた。
 ところがだ。油赤子の出現で、姑獲鳥の子供さらいはピタリとなくなった。
 いつまでも赤ん坊な油赤子が姑獲鳥にマッチしたのだ。今では仲良し親子として有名である。

【猫缶と火の粉】
 火車が亡骸を運ぶのを目撃した。悪人の遺体は火車が連れ去ってしまうのだと聞き、それなら火車は働き詰めで大変だろうと、猫缶をおやつに手渡しておいた。
「俺に美味いもの食わせて何がしたいんだ」
「死後、丁寧に運んでもらいたいからね」
「賄賂か、悪人め」
 どうやら運んでくれる気はなさそうだ。




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