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妄想技術職/妄想技術職2/ただ綺麗な物


【妄想技術職】
 石橋の効率のいい叩き方を模索している。力加減と速度を調整し、必要最小限の回数だけ叩いて渡る。それが石橋叩き渡り師の試験だ。
 叩かないで渡るのは慎重さに欠けるので不合格。叩きすぎて壊してしまっても不合格。難易度は高い。
 頭の中で計算が渦巻く。
 その慎重さやよし、と審査員が頷いていた。

【妄想技術職2】
 ただびしょ濡れにすれば良いのではない。手から滴り落ちない程度の絶妙な水分加減が要求される。
 その手を一気に粟の中に突っ込み、タイミングを見計らい引き抜く!
 濡れ手に粟検定では、決まった水分量でいかに多く粟を手にできるかで、三級から一級まで分かれている。
 両手ですくったら反則である。

【ただ綺麗な物】
 びりびりに破けた蝶の羽が、私の背に生えていた。どうも世の儚さと理不尽さを受けて、元からびりびりの状態で生えてきたらしい。
 ステンドグラスのような透明さの羽は、頑張る気力が尽きているのか、だらりと垂れ下がっている。
 息を吐くと、虹色に輝く影が揺らめいた。飛べなくても綺麗な物は綺麗だ。




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