多様な園/天界の色/創作の海
【多様な園】
クラゲの触手のカーテンをくぐると、陽射しが注ぐ水中で海亀が笑っていた。少しだけ水を飲んだ。からい。思わず目を伏せると、岩陰に足をくねらせた蛸がいる。
人は一人もいない。私一人が海の異物である。
寂しくはなかった。水圧が心地よい。脳に思考が巡っていく。
行こう、姿形が違う者達の園へ。
【天界の色】
悪魔は黒いとばかり思っていたし、逆に天使は白いと思っていた。神様なんかは金色だと思っていた。
桜が描かれたワンピースを着た夕日色の悪魔は、僕の小指に自分の小指を絡ませる。
デニムのジャケットを着た緑髪の天使は、風船ガムを噛む。
神様初日の灰色な僕は、書類を手に天界行きのバスに乗る。
【創作の海】
私は海辺Fで釣りをする者です。海辺Aで泳ぐ人は、綺麗な貝殻を見つけたといいます。海辺Zで絵を描く人は、飛び跳ねる海豚を見たといいます。
海辺Kを眺める人は、ナマコを沢山拾っていました。海辺Gで遊ぶ人は、立派な砂の城を建てました。
何をしても自由な海です。
何を作っても自由な海です。
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