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排してばかりじゃ息ができない/市民は幸福か


【排してばかりじゃ息ができない】
 喫茶店を開いた。喫茶店というくらいなのだから喫煙スペースがあっていいだろうと思い、全席を喫煙席にした。
 嫌煙家や子供は寄り付かなくなったが、タバコを呑む人々は換気も充分なこの店にやって来てくれる。
 私はタバコをやらない。だが、この店は私に必要だ。
「一息つける場所が欲しかったので」

【市民は幸福か】
 一切の批判を許さなかった。その代わり自分も批判をしなかった。
 一切の迷惑を許さなかった。その代わり自分も迷惑をかけないようにした。
 声をあげず、足音も立てず、気配を消して生きた。
 大きな足音を立てて走り回る人々が、人の迷惑もかえりみず大声で笑っている。ああ、そちらを選べば良かった。




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