輝きの山 1/2
輝きの山、と呼ばれる雪山があった。昼でも夜でも眩しいほどに輝く雪山は、いつしか、登山で命を失った者たちの魂が集まり光っているのだという噂になっていた。
そんな山の麓にある村に住む青年たちに、試練が課されることになった。国からである。
輝きの山の正体を暴きだせ、というのだ。
まずは力自慢の男が山を登った。男は帰って来なかった。雪山で輝く魂の一部になったのだ、と誰かが言った。
次に知識を持つ男が山を登った。彼も帰って来ることはなかった。村の者たちは皆、雪山を恐れるようになった。
勇気ある男が山へ行こうと腰を上げたときには、皆で引き止めた。
輝きの山は依然として輝き続けていた。
国からの試練はこなさなければならない。しかし、村の男をこれ以上失いたくはない。
村人たちは考える。そして思いつく。
いらない人間を送り出してしまおう、と。
不必要な人間ならば、雪山から戻って来なくても支障はない。それに、もし輝きの山の正体を掴んで戻って来たのなら、その時点で村にとって必要な存在になるだろう。
村人たちに提案に、それは傲慢だ、と異を唱える青年がいた。身寄りのない青年だった。
人々が見逃す筈もない。
青年は荷物を押し付けられ、雪山へ追い出されることになってしまった。
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