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ピヨ郵便

「約束の品を出してください」
 ヒヨコに凄まれた。
「あなたが出すと言って、いつまでも出さなかったもののことです」
 はて、なんだっけ。
「楽しみに待ってたのに、いつまでも届かなくて、ニワトリになっちゃいそうです」
 約束しておきながら忘れているなんて不誠実だよな。早く思い出してあげたい。
「文字を読む練習だってしました。ひらがなだったら読めますよ」
 そこで思い出した。そうだ。春になったら手紙を出すよ、と約束をしていたのだ。
 僕はピンク色のインクで、ひらがなだらけの手紙を書いた。おそくなってごめんなさい、と最初につけて。
 切手風のシールを貼り、郵便配達っぽい服を着た。
「僕から郵便です」
  ヒヨコに手紙を渡す。
「ついに来た! きちんと読んで、お返事を書きます! 待っててね!」
 嬉しそうなヒヨコは、自分よりも大きな便せんを器用に広げ、ふむふむ、と読み始めた。
 これだけ待たせてしまったんだ。いつまでも待つよ、君がニワトリになっても待つよ。