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親の仇!

「親の仇!」
 串団子が怒りに震えている。僕を見て目を吊り上げている。僕はしがない和菓子屋の店員だ。
「僕の親は、それは立派なみたらし団子になりたかったんだ! でも、あなたはあん団子にしてしまった!」
 そうか。それは申し訳ないことをした。きっと、しょうゆのタレに憧れていたことだろう。
「あんこがたっぷりなところを母に見初められて、父は結婚した! でも、みたらし団子への憧れは増すばかり!」
 うんうん、と僕は頷いた。これは僕の責任だ。彼の父をみたらし団子に変えることはできないが、できることなら何でもしよう。
「僕を立派なみたらし団子にしてくれ。父に見せてあげるんだ」
 白団子の彼に頼まれて、僕は了承した。彼をじっくり焼き上げ、和菓子屋の秘伝のタレにくぐらせる。
 みたらし団子になった彼は、鏡を見て涙ぐんでいた。
「これで親孝行ができる。ありがとう」
 彼を実家まで送る。
 彼の父は、みたらし団子になって帰ってきた息子を見て、それは嬉しそうに微笑んでいた。