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金銀砂子書店

 三毛猫がせっせと本を運ぶ。ここは、金銀砂子書店。店長はフクロウで、副店長はニワトリの、朝も夜も開いている本屋だ。
 壁一面に本棚が並んでおり、背の高いのから低いのまで、分厚いのから薄いのまで、様々な本が隙間なく押し込まれている、本の迷路とも呼ばれている店だった。
 立ち読みは禁止。疲れるので、椅子に座った方がいい。店のところどころに机と椅子があって、行儀よく座れば十人ほどが読書を楽しめる仕様になっている。
 定期的に読書フェアが開かれる。本を一冊購入すると、合皮でできたしおりとブックカバーがおまけでもらえるので、フェアが開催された際は立ち寄ってみてほしい。

 金銀砂子書店は、夕方の隙間に店を構えている。どの細い路地からでも行けるので、世界中に繋がっていると言えるだろう。朝焼けの隙間にも行くことができ、その時に見られる空気がきらめく現象は、正に圧巻だ。
 三毛猫は、本を丁寧に扱って、たとえそれが古本であっても新品と同じように接し、自信を取り戻した本たちが胸を張って並べるように、本棚を綺麗に掃除する。フクロウもニワトリも、三毛猫の心の配りように、大変感謝をしている。
「個人で作った本も買い取りますよ」
 フクロウは言う。
「日記も、作文をしたためるノートも、写真のアルバムも、冊子になっているなら宝物ですので」
 ニワトリが嬉しそうに語った。