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星くずの居場所

 ひと粒の星が落ちていたので、指先でつまんで拾った。夕焼け空のような、オレンジと水色がほんのりと混ざりあった星くずだった。
 星くずを小さなビンに入れて、ネックレスにして首から下げた。時々きらりと輝く星くずは、つまらなそうな、さみしそうな様子だった。
 きっと夜空に帰りたいのだろう。誰だって、自分の居場所に戻りたいはずだ。小さなビンから取り出した星くずを空へ差し出してみる。
 何も起こらない。星くずは帰れなかった。
 だから、部屋の壁紙を宇宙の柄にした。蛍光灯を、シャンデリアにした。ニセ物でも、星くずの居場所を作りたかった。
 星くずは、気のせいか誇らしげに輝いている。
 ひとりとひと粒で宇宙遊泳だ。