女の子図鑑
身長一四〇センチメートル、髪型はツインテール、パステルカラーのブラウスと、チェック柄のキュロットスカートがよく似合う女の子。自分は守ってもらう立場だと思っていて、しかし守ってくれる相手に感謝はしない、守られて当然だと思っている女の子。まだ、守られることと、甘やかされることの区別がついていない女の子。
身長一五〇センチメートル、髪型はショートカット、スカジャンと、ダメージ加工のデニムが様になっている女の子。自分は誰かを守りたいと思っていて、戦隊もののレッドやブラックになってみたくて、だけど一人称はわたしの女の子。女の子なんだからキラキラした魔法少女に憧れなさい、と言われて、心のやわい部分が傷ついている女の子。
身長一六〇センチメートル、髪型はストレートのロング、白いＴシャツと、タイトめなパンツ姿の女の子。弾く気のないギターを背負って、道行くお婆さんが横断歩道を渡れるように守って、前髪にパープルのメッシュでも入れようかなと思っている女の子。実はベースが弾きたいけれど、ギターの方が似合うよと言われて、愛想笑いで引き受けてしまった女の子。
身長一七〇センチメートル、髪型はベリーショート、パーカーと、オーバーオール姿の猫背な女の子。怒っているように見える眉毛と、高い声がコンプレックスな女の子。女の子、だなんて、成人しているのに子と言われるのが微妙に嫌な女の子。髪が短いだけで、勝手に男の役を期待されて困ってしまっている女の子。