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狐面と僕の短歌

 夕闇に鳥居の下で待つ君の狐の面をそっと外して。

「油揚げ、好きだったろう、昔から」はにかむ君に出すいなり寿司。

 手を繋ぎ、ぐるり一周裏の山。小さな祠、つい目がいった。

 軋む音。背後で扉開く音。祠から来る、裸足の誰か。

 参ったな、どうやら気に入られたらしい。走って逃げて。君が呟く。

 逃げ去って、ほとぼり冷めるまでしばし、身を潜めろと君が言うから。

 朝早く鳥居の下に向かったが、君だけじゃなく神社までない。