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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -

秋のヨナガ

 花が散る。物凄く速い彼によって花が散る。
 一気に地に降りてきた彼は、草を枯らして木の葉を落とし、炎の気配を吹き消して駆け抜けていった。
 人はかじかむ手をもみながら彼の到来を知る。
 彼の名は「秋」といった。
 実りを与えてくれる彼は、同時に熱を徐々に奪っていく彼でもある。
「昨日までは暖かかったのに、一気に冷え込んで」
「本当よねぇ、お洗濯したのに乾かなくて参っちゃうわ」
 井戸端会議を笑って聞きながら、彼は走り抜けていく。
 遠くで犬の鳴き声がした。
 すぐに暗くなる空を吠え立てているようだった。

「ヨナガ、冷えてきたでよ、窓しめれ」
「はいよ」

 ヨナガと呼ばれた少年が、窓際へ近づいたその時だ。
 キンモクセイの強い香りと冷たい風が、少年の頬を撫でていったのは。
「秋に見初められっと風邪引くぞぉ」
 分厚い上着を着た祖父に笑われて、ヨナガは赤い頬で窓を閉めた。