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涙の明日

 明日なんて要らなかった。
 明日なんて迎えたくなかった。
 なのに貴方は言う。
「明日があるさ」
 未来に進んでも真っ暗闇な気がしてならなかった。
 このまま生きながらえてなどいたくなかった。
 それでも貴方は言う。
「明日があるさ」
 明日なんて何の役に立つの、と私が泣き出すと、貴方は困ったような顔をして笑った。
 私の肩を抱いて、貴方は言うのだった。
「明日があるさ」
 きっとこの傷を癒せるのは時間だけだと貴方は知っていたのだろう。
 だから下手な慰めしかできなかったのだろう。
 私は泣いた。明日なんてものが私にやって来るとは信じられなくて。
 私は泣いた。明日なんてものが私にやって来るのが恐ろしくて。
 私は泣いた。
 貴方の不器用な言葉が頭の奥に染み込んできて。
「明日があるさ……」
「……うん」