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親知らず

「生まれつき、目が三つなんです」
 三つ目小僧が落ち込んだように話す。
 何でも、一つ目小僧の家系に突然変異で生まれてしまったらしい。
 それを聞いて飛頭蛮(ひとうばん)が顔を曇らせた。
「俺も、首が伸びる家系のはずが、首が外れるほうに生まれちまってな」
 妖怪にも遺伝子というものはあるらしい。
 遺伝子がかけ合わさった結果、普通とは違う子供が生まれてくることがあるらしい。
 二人はため息を付く。
「三つ目のほうが不気味だから大丈夫、だなんて……妖怪として重圧を感じます」
「首が外れるなんて才能だ、とか言われてもなあ」
 その分、人間を驚かせてこい、と親から期待されているエース二人が、肩を落とす。
「僕、お花屋さんになりたかったんですよねぇ」
「俺、カメラマンになりたかった」
「目と首、なんの関係もないですね」
「な」
 本人たちはそういう特殊な立場ではなく、ただ平凡な暮らしがしたいだけである。
 親の心子知らずとはよく言うが、子の心親知らずでもあるのだ。