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幸せにしたくなるじゃあないか

「幸せだなあ」
 ビー玉が言う。
「幸せだなあって言うと、幸せがやってくると聞きました」
 呼び寄せの法則、みたいなものかな?
「だから幸せだなあ、と言います」
 そうなんだ、幸せが来るといいね。
 と、そこにおもちゃ屋のご主人がやってきて、ビー玉をゴミ箱に入れようとした。
 ち、ちょっと……!
「これはラムネのビンに入れないB級品なんだよ。ほかのおもちゃ用のビー玉と違って、透明なだけ。面白くないだろう? だから捨ててしまうのさ」
 幸せがやってくると信じて、幸せだと言っていたビー玉が……。
 それなら僕が買い取ります。下さい。その綺麗なビー玉を。
「幸せだなあ」
 ……そうかい?
 僕の手の中で、ビー玉がしみじみと呟く。
「綺麗と言われました。初めてのことです。とても幸せ……やっぱり、幸せはやってくるのです」
 嬉しそうに、本当に、本当に幸せそうに言うビー玉の、つるつるのてっぺんを、僕は指先でちょんちょんと撫でた。

【幸せにしたくなるじゃあないか】