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- ナノ -

おうち国のハム大臣

「政治に口を出してみようと思います」
 ハムスターがきりりとした表情で言った。
 いったいどのようなことを話すのだろう。僕は興味津々だ。
「毎日ひまわりの種が食べたいです。でも飼い主さんは、たまにしかくれません。なので、意見書を書きました」
 一日に三粒ください、と書かれた署名を渡された。
 どうやら、我が家の政治に口を出したいらしい。ほかのハムスターの足跡もスタンプされていて、真剣な様子が伝わってきた。
 僕だって何も意地悪のつもりであげないのではない。ひまわりの種は高カロリーで、食べすぎると太ってしまうからなかなかあげられないのだ。
 僕は言った。
 一日に二粒なら、と。
 三粒! 三粒! とハムスターたちの合唱が聞こえた。ううん、一日に三粒だと、体に悪そうだ。
 じゃあ、こうしよう。一日に二粒、それからミルワームもつける! 体に良いし、おいしい。どうだい?
「魅力的ですね」
 ハムスターたちは悩んだ。そして頷いてくれた。国民の意見が反映された瞬間だった。

 僕はハムスターたちの間で選挙をしてもらった。飼い主である僕に意見を述べる、重要なポストを決めてもらったのだ。
「ハムスター環境大臣です」
 任命されたハムスターは、ほかのハムスターの要望を僕に伝えてくれるようになった。
 僕も、我が家の政治を滞りなく進めるため、国民の声を聞かなければ。
「飼い主大臣! かじり木を新しく買ってほしいです! ハムスターたちのお願いです、よろしくお願いします!」
 よし、分かったよ。
 それから、ケージの大掃除の日程を決めたので、みんなに伝えておいてください。
「わかりました!」
 歩み寄りが大切だよね。