初めて不二くんと話したとき、私はひどく不格好で、初対面ではないが友達という訳でもない不二くんに爆笑されてしまった。
 口元に笑みを浮かべる、という笑い方が非常に似合う彼が、口を大きくあけて爆笑。「失礼でしょ!」とか言うべきことはあったはずなのに、私もまた、つられて爆笑してしまった。


 しめっぽい雨の日。ふと、思い出すことがある。



「うん。僕もきっちり覚えてるよ」
「いや、きっちりは覚えてなくていいかな」
「だって君、泥まみれで…!」
「あー、また笑った!やめてよね、本当に恥ずかしいんだからっ」
「とか言って、笑いをこらえてるくせに」
「あ、バレた?」


 結局何だったのあれ、と聞いてくる不二くんに、私はまだ話してなかったことに驚いた。


「その日、傘折れちゃってね」


 特別強い風が吹いていたというわけではない。が、何故か折れた。これは今でも本当に分からない。
 コンビニからこのまま家に帰るよりも、学校によって置き傘を使った方がいいと判断した私は、折れた傘を握りしめ学校に走った。


「その戻る途中よ。車がばしゃーって、よく飛ばしてくるじゃん?あれに直撃」
「ふふふっ、柚らしい」
「ちょっとそれどういう意味」



 下駄箱のところで身体をふいているところを、不二くんに見られてしまったというわけだ。
 ひとしきり2人で爆笑したあと、「とりあえず部室来なよ」と言ってくれた不二くんの優しさに感謝し、タオルやら温かい飲み物やらにまた感謝し。まさかそんなことから友情が生まれるなんて思ってもいなかった。



「そういえば柚、泥は雨で流すから!とか言って、外に飛び出していったよね」
「なっ、またそういう変なことばっか思い出して…!」
「次の日風邪ひいたし」
「看病までさせてしまい、面目ない限りです…」



 これで二人が結婚でもしたら笑いものだよね、と言ってのける不二くんに、まさかと笑いながら返した。
 生い立ちムービーにのせる写真はいっぱいあるなぁ、なんて考えながら。



title:joy
−−−−

長らくお待たせしましたあああ!!
私の中で究極的なほのぼのを目指したら、オチ行方不明ですねこれは…!
せっかくなんで初めて不二くん書かせてもらいましたが、彼のキャラこれでいいのかな(笑)

真代ちゃん!
リクエストありがとうございました!!


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