今日もまた彼女は、窓際に立って外を眺めている。時おり携帯を取り出して、写真を撮ることもあった。
 それから、彼女は毎日何かしらの花を持っていることが分かった。昨日は白い花、今日は青い花。何の花かは分からないが、みずみずしいそれは彼女によく似合っていた。


 思うに、彼女はここらの人間ではないようだ。もちろん、俺は彼女と話したことはないし、出身地なんて知る術もない。
 ただ、こういうのはなんとなく分かるのだ。雰囲気というか立ち居振る舞いというか、直感で俺はそれを感じ取った。

 そして、花を毎日持っているということは、華道をやっているのか。誰かに届けているのか、はたまたお見舞いに行くのか。



(って、何やってんだよ俺)



 声に出さないからいいものの、今の俺は相手からしたらあまり気持ちのいいものではない。
 視線を窓の外に向ければ、朝と言えどさんさんと太陽がふりそそぐ海が見えて。



「綺麗だなー…」



 思わず口に出てしまった言葉に慌てて両手で蓋をし、周囲の目を伺うように「ゴホンッ」少し大げさに咳払いをしてみた。


海の語源が大きな宝石箱だなんて、誰が言った。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -