「さむさむー!」
「手袋持って来えへんかったん?」
「急いでたんだもん」


 雪はふらなかったが充分に寒い。そりゃそうだよね、1月だし。はぁ、と白い息を手にあてて神社への道を歩いた。

 私たちは小さいときからこの地元の小さな神社に初詣に行くことが習慣になりつつあった。もちろん今年も例外ではなくて。本当に小さい神社なので辺りは静まり返っていて、蔵くんと二人、石段をのぼる。

 充分ご縁がありますように!の願いをこめて15円をお賽銭箱に入れて手を合わせる。願い事、世界平和は絶対だよね。あと健康祈願と、あ、今年受験だから一応受かりますようにっと。


 そのままの流れでおみくじをひくのもいつものこと。一昨年は中吉で去年は末吉、なんだか冴えないのばかりなので、今年こそ大吉ひくぞー!と思った矢先からこれである。まさかの大吉。これで今年分の運使いきったとかないよね、大丈夫だよね。


「やったー!蔵くん何だった?」
「小吉…」
「うっわ、微妙」
「別にええもん、出産は“安産心穏やかに”やし」
「いや、あんた出産しないでしょ」
「柚は何やて?」
「んとー…、あ!待人“来るつれがある”って!あああ、しかも恋愛は“誠意を尽せ”って!」


 一応女の子だしさ、気になるじゃんそういうこと。しかも縁談は“思いがけぬよき事あり”とか…!学生だけど嬉しいことには変わりない。
 そんな感じで一人うかれていたら隣の蔵くんも何故か笑顔になり始めた。いや君小吉じゃん。


「ちゅーことは伝えてええってことやな…」
「いや何が」
「恋心」
「男が真顔でそれを言うな。ていうか私好きな人いないし」
「へぇ」
「まぁ今年できるかなー!なんたって大吉だから!」


 大吉、大吉。嬉しいなぁなんて思ってたら、急に蔵くんに手を握られて。え、何これ。幼稚園くらいに手を繋いだ記憶はあるんだけど最近はめっきりなくなったから、ちょっぴり緊張してしまう。何なんだ…!



「俺の恋心やて」
「…誰への?」
「柚への」


 ほら、だから言ったじゃん。大吉なんだって、今年。
 私はぎゅっと、蔵くんの手を握りかえした。


――――
グダグダすみません!
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