「うらやましい…」


 王者立海。負けを許されない立海大附属の掟を破れば、副部長のビンタが待っている。それは部長だろうとレギュラーだろうと同じで、ちょうど今赤也がビンタされたところである。パチーンなんて可愛い音じゃない、やられた人曰くバチンという音さえ聞こえなくなり(いわゆる感覚麻痺)、視界が真っ白になるらしい。


「……」
「え、なんて?」
「悪りぃ、俺も聞こえなかったわ」
「ビンタ、されたい…」
「……」
「お前アホだろ!あんなんくらったら死ぬぞ」
「いい。真田に触れてもらえるなら何でもいい…」
「……」



 真田とは、元々ただの部活仲間だった。知らないうちに私は彼のことを好きになっていて、勇気を出して告白したらあっさりOK。びっくりしたけどすごく嬉しくて。
 ただ、付き合ったからって何かが変わるわけではなかった。元々そんなに話す方じゃなかったしイチャイチャするのも嫌いだけど、さすがにこれはないと思う。手をつなぐことはおろか、まともに話したのは何週間前だっけ。もう泣きたい。ビンタだろうが何だろうが、真田に触れられてる赤也がうらやましすぎる。



「もうヤバイよこの子ー!」
「ラケットもいいな…。ぎゅーって握られてるし…」
「ちょ!おま、一回病院行ってこい!」
「さなだー、君の彼女、大変なことになってるよ」


 幸村のその声で真田がこちらを向く。あぁ、目があったのは5日ぶりだ。
 そんなことをポワーンと考えていたら既に真田が私の前に来ていて。幸村が小言で「ちゃんと言いなよ」後ろから呟いた。そうだね、言わなきゃずっとこのままだもん。


「ビンタしてください!」





「ちっげぇよ!!なんでそれ言うんだよ!」
「アホじゃな…」
「な、何を言っているのだ…!」
「なんで真田は顔が赤くなるの」

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