◎保健委員の白石くんの続き


 お昼の時間になった。ぐー。あ、今お腹鳴った。誰にも聞かれてないよね、と思いながら周りを見渡してみればニヤニヤした友人と目があって。「私行くとこあるから!」そう言って教室を出た。

 手には二つのお弁当。本当に行くとこはあるのである。3年8組の戸をあけ、私は幼なじみである一氏ユウジの元へ向かった。


「これお弁当、おばさんから」
「おー、さんきゅ」
「柚ちゃん久しぶりやなぁ」


 ユウジの隣にいるのは金色小春ちゃん。彼女は一氏の片思い相手で、この教室によく来るようになり仲良くなった。頭はいいし優しいし、本当にいい人。

 私は慣れた手つきで空いてる椅子を動かし、二人と一緒に食べることにした。クラスのこととか、モノマネのこととか、何かと盛り上がるのはなんでだろう。



「そんで、柚はそのリップ使うたんか!」
「え、うん。まぁ」
「えええ、普通見ず知らずの男からもろたリップなんか使わんよなぁ、小春」
「そうねぇ」
「見ず知らずじゃないし、一応クラスメイトだし」
「でも話したことないやんか」
「新品だったし、人の善意には甘えとかなきゃなーって」
「っはー!!アカンアカン、これだから女子は見た目だけやねん!」
「は?」
「白石がイケメンやからやろ!?イケメンは何してもイケメンやからな!くっそー、イケメン許すまじ!」
「…小春ちゃん、一氏どうしたの?」
「うーん、頭でも打ったのかしら?」
「ケッ、イケメンはええよな、ほんま!」



 おばさん特製の絶品卵焼きを口に頬張り、ぷんすかしてしまったユウジ。ん?イケメンはいいよなって、え。

「ユウジもかっこいいよね?」


 思ったことを口にすれば、二人はポカーンとしてユウジなんか口からご飯を出していた。汚いな!
 恋愛対象とかじゃなくて、普通に世間一般で見たらかっこいい分類に入らない?



「なななな!それ本気か柚!」
「ご飯吐き出すとこはアウトだけどね」
「せやなぁ、たしかにユウくん女の子に人気やし」
「そそそれはモノマネ上手いからやろ!?」
「でも、普通にかっこいいと思うよ。ねぇ?」
「おん。アタシはユウくんかっこいいと思うで?」


 小春ちゃんのそのセリフにやられたのか、ユウジは目をキラキラさせて暫く震えたあと、すごく嬉しそうな顔で小春ちゃんに抱きついた。あーあー、イチャイチャタイムはじまったよ。


「おおきに!ありがとう小春〜!」
「でも、小春ちゃんの好きなタイプかわいい子じゃなかったっけ?」
「お前は黙っとれ!死なすど!」
「オラァ、柚ちゃんにそない口聞くなボケ一氏ィ!」



 ギャーギャー騒がしい二人にため息と微笑みをひとつずつ。四天宝寺中は今日も平和です。
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