最近まで、涼しくなってきて嬉しいよねなんて会話もあったが、今では涼しいどころじゃない。寒い。寒いなう。
 補習が終わり丸井と階段を降りていると、いきなり「あったかいものが飲みたい」と言い出した。肉まんじゃだめ?と聞いてみたが、どうやらあったかい飲み物じゃないといけないらしい。なにそのこだわり。とりあえず私たちは校内の自販機に向かった。

 ちょっと前までは、温かいものは全然売れてなくて数もすごく少なかったのに、今では半分以上が温かいコーヒーとかココアとか。売切の文字も多い。

 冬が近づいてるんだなぁ、今年もあっという間だなぁ。そんなことを改めて感じながら、私はカフェオレのボタンをピッと押した。



「あれ、お前カフェオレ好きだっけ?」
「いや普通。ココアが一番」
「なんでカフェオレ?」
「一番好きなのを毎回買って飽きちゃうのがイヤなの。たまにだからいいの」
「わっかんねー」



 そう笑いながら、丸井も自販機に向き直る。自販機の光って結構眩しい。手の中の買いたてのカフェオレが温かかった。いつも思うのが、寒いときに温かい飲み物を買ってしばらく手を暖める感覚、それがすごく好きなんだよね。



「ワーオ。ない!」
「どうしたの丸井くん(裏声)」
「俺が去年いつも買ってた缶コーヒーあったじゃん?あの微糖のやつ。あれがない」
「微糖なんかいっぱいあるじゃん。早く帰りたい」
「あれじゃなきゃだめなんだよ!あの微糖まじで美味いんだよ」
「へー」
「コンビニ行こうぜ」
「えー帰りたい」
「肉まんおごるから」
「上のセブンにする?それとも下のローソン?」
「現金なやつ」
「丸井に言われたくない」



 数分後、コンビニの横でカフェオレを飲みながら肉まんを頬張る私に、「ここにもなかったー」と半泣きで駆け寄ってくる丸井を見ることになる。

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -