「雨とかつまんないねー」
「ねー、ほんと」
「しかも心なしか暑い」
「ねー、蒸し暑い」
「ブン太アイス買ってきて!」
「なんでだよ!!」



 と、いうわけで夏が来る前に心配は現実になった。蒸し暑いってアレだよお前、うちわで扇いでろよ学生らしく。



「これは部長命令だから。絶対だから」
「あ、プラスマネージャー命令」
「だから権力を使…マネージャー命令?」
「うん」
「つかマネージャーって使われる方じゃね?」
「……は、」
「あ、ブン太地雷踏んじゃったね。俺知らないから」



 バンッ。机が叩かれ、上にのっていたノートやら筆箱やらが一瞬宙に浮いた。目の前にはゴゴゴゴゴという効果音が似合う柚。まったく、めんどくさいことになった。



「マネージャーをパシりと思ってんじゃねーよ!!」
「す、すみませ…」
「アンタにマネージャーの大変さが分かんの!?やれドリンクやら、やれスコアやら、やれ…あのアレ、ドリンクやら」
「お前ドリンクとスコアしかやってねーじゃねーか!」
「は。アレだし、コート整備とかボール拾いとか気が向いたらやるし」
「お前の気が向く日は来る気がしねーがな」
「他の学校はマネージャーがやってるであろうユニホーム洗濯とか、うちは基本本人がやるよね」
「バッキャロウ!自分が使った服くらい自分で洗え!それがスポーツマンっつーもんでしょ!!」
「はぁ…」
「ったく、なんでもかんでもマネージャーがやると思ったら大間違いよ。こっちはね、やれ監督や、やれコーチや、やれ保護者やらの板挟みにもあって大変なのよ!」
「板挟みっつーかお菓子もらってるだけだよな、お前が」
「とにかくね、王者立海!スポーツマンシップにのっとって部活に励んでほしいものだわ!」
「はいはい、わかりましたー」
「つーことで、丸井アイス買ってきて」
「なんでだよ!!」



「せめてさー、うちの学校にも可愛らしいマネージャーが欲しかったよね」
「あ?ここにいるじゃん」
「だよな幸村!女っ気がねぇもん。むさ苦しい」
「いやだからここに」
「花のように可憐な子がマネージャーになってくんないかなー」
「…お前らまじドリンクどうなっても知らないからね。ミミズとk」
「「ごめんなさい」」
「わかればよろしい」
「ミミズはだめだ、シャレになんねぇ」
「じゃあこの時期ならではのカエルとか」
「そんな旬モノいらねーんだよ!」
「ていうか女子がみんな裏でもキラキラしてると思うなよ。現実は悲しいもんだから」
「なになに」
「妄想は所詮理想でしかないってこと」
「わかんない」
「もう説明めんどくさい」
「柚のアホー」
「みかん食べたいね」
「あーうん。まぁ食いたいといえば食いたい」
「俺はチョコがいい!」
「たまには果物も食べなさい。あのー、ほら、ビタミンなんとかとか入ってるから」
「なんだよそれ、説得力に欠けすぎだよ」
「いいから買い行こうよ。雨だし、暇だし、ブン太だし」
「最後のなに」



 緑青オレンジの3つの傘が並ぶ。ぴちゃん、カエルが葉っぱの上で跳ねた。水滴が落ちる音が聞こえた。

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -