「あーつーいー」
「だー…」

「しゅばっ、しゅばばばっ」
「なぬっ!?貴様なにやつ!?」
「…何奴っつーか仁王だろ」
「ふっ、さる方の命により貴殿がお命、頂戴いたすっ」
「…お前誰だ」
「ま、まさか伏姫の配下のものだというのか!」
「だーもう!伏姫って誰だようるせぇな!暑いんだから騒ぐなよ!」
「今二人とも南総里見八犬伝がブームらしいよ」
「さようで…」



 6月は梅雨って誰が言ったんだ。たしかに雨上がりの湿った暑さも耐えがたいが、こうカラカラした暑さも苦手なのである。うん、たぶん人類共通で苦手だよなコレ。

 そんなわけで部室には幸村と仁王と赤也と柚と俺。衣替えは終わったくせにまだ夏じゃないとか言って、扇風機は支給されてない。

 つまり、今、野郎が狭い部室集まってグダグダ過ごすことは最高にやめた方がいいことなのである。



「おい待て、私は野郎じゃないから」
「あ、そうだっけ。悪りぃな」
「……え、いや、ガチでした?」
「あー、俺いま頭回んねぇから」
「そういう問題とちがうよね。人権問題だよね」
「あーもう先輩たちうるさいっすよー」
「そうじゃー」
「ちょっともうこれダメだね。涼しくなりたい」
「ふとんがフットンダ」
「……」
「………」
「…っぷ」
「あはっ、はははっ」
「ぎゃははははっ」
「なぜ爆笑」
「柚のセンスのなさ、プラスしらけ度に笑った」
「やめてよ逆効果だよ」
「おれアイス食いたいっす…」
「あーいいね、私ピノ」
「俺チョコのな」
「氷菓子…」
「俺もピノ」
「俺はモナカのがいいっす」
「……」
「…」
「よろしくねー」
「一刻も早く頼むわ」
「……」
「………」
「……いや待て待て、誰が買ってくるんだよ」
「「丸井」」
「待てそこC組」
「えーじゃあもう誰か呼ぼうよ」
「アイス買ってもらうために?」
「うん、部長命令は絶対でしょ?んー、一年生とか」
「いやいや!それはいくら何でも可愛そうだろ!」
「じゃあ丸井行ってきてくれんの」
「……せめて三年から呼ぼうぜ」
「せっかくなら涼しげな人がいい」
「…真田副部長とか?」
「ソウデスネー」
「……あ、もしもし柳?」






「で、俺が呼ばれたわけか」
「ではでは発表しまーす!ピノ×2、ガリガリくん、モナカアイ「くだらん帰る」
「急に仁王先輩が元気になった」
「餌を得た魚のようだね」
「水を得た魚ね」
「なんとなく察しはついていたが、そのくらい自分たちで買いにいけ。俺は忙しい」
「生徒会?」
「あぁ」
「ちっ、真田もだめか」
「あーうー、じゃあジャンケンするかー」
「暗くなる前に帰れよ」
「うんお母さん」
「じゃあね柳、お疲れさま」




「というわけでジャンケンです」
「ジャンケーンポン」
「………」
「あいこっしょっ」
「……」
「っしょ」
「…あーあ」
「ひゃっほう、幸村よろしくー!」
「よっしゃ、神様ありがとう」
「ゴホゴホ、あー俺病気なんだよネー」
「こんなところで病気使うなよ!つか回復しただろお前!」
「丸井くんうるさーい」
「病気ならしょうがないっすねー」
「ねー」
「…お前ら俺に行かせようとしてるだろ」
「「うん」」
「ははっ、一回死んでこい」
「やだー」
「やだー」
「イラッ」
「はいもっかいいきますよー、ジャーンケーン」
「ぽんっ!」
「…あー、負けた」
「っは、そんな悪巧みばっかしてるから負けんだよ!よろしくな柚」
「ゴホゴホ、あー私この前から風邪なんだよね」
「大丈夫?柚」
「無理しない方がいいっすよ」
「ほら、あそこに健康体がいるんだし」
「俺か!俺のことか!」
「「……(じーっ)」」

「あーもうお前ら負けたんだから二人で行ってこいよ!!」



 今年の夏が心配になった。いろんな意味でな!


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オチが迷子
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